公開シンポジウム 生活に身近なOne Health
食品から検出される薬剤耐性菌の現状
薬剤耐性に起因する死亡者数は年間70万人(全世界:2013年)と報告されており、2050年までには「がん」を越えて死因の第一位となる1000万人の死亡が危惧されています。本シンポジウムは、市民との対話「One Healthシンポジウム」の一環として、食品と薬剤耐性菌の課題について4名の専門家にご講演頂きます。さて、食品を介してヒトの健康に影響を及ぼす細菌の薬剤耐性については、ヒトと家畜・家禽・水産物との関連性の評価研究が進んでいます。農畜水産物の生産現場ではヒトの医療現場よりも多くの抗微生物薬が使用されています。一方、家畜・家禽は経済動物という側面から成長促進・飼料効率の改善・生産性向上の目的で抗菌性物質を使用し、安定した食料供給と家畜・家禽の健康管理(動物福祉の5つの自由:病気からの自由)にも繋がっています。 今回のシンポジウムでは、生活に身近な食肉・魚・野菜・果物などの「食品から検出される薬剤耐性菌」に焦点を絞り、農業・畜産・水産の生産性を維持しながら、薬剤耐性菌の影響がヒトに対して可能な限り及ばないようにするための、one healthの理念である医学、農学、獣医学、水産学などの領域を越えた調査協力体制とその活動をご紹介し、迫り来る「薬剤耐性菌の脅威」を皆さまと一緒に乗り越える方策を考える機会にしたいと思います。
講演
13:30 開会
髙井 伸二(日本学術会議第二部会員、北里大学名誉教授)
13:35 オープニング
田村 豊(日本学術会議連携会員、酪農学園大学獣医学群教授)
13:55 食肉
下島 優香子(相模女子大学栄養科学部准教授)
14:15 魚
廣野 育生(東京海洋大学学術研究院海洋生物資源学部門教授)
14:35 野菜・果物
臼井 優(酪農学園大学獣医学類准教授)
14:55 総合討論
関崎 勉(日本学術会議連携会員、東京大学名誉教授)
後藤 貴文(日本学術会議連携会員、鹿児島大学教授)
15:25 閉会
眞鍋 昇(日本学術会議第二部会員、大阪国際大学学長補佐教授)