感染症の中には、人への健康被害はなくても、家畜に壊滅的な被害をもたらすことで、食料生産への脅威となっているものがあります。2010年に宮崎県で発生した口蹄疫では約30万頭の牛と豚等の家畜が処分され、畜産関係の被害総額が約1400億円と言われています。さらに、心ない風評により全く関連性のない産業や市民生活にまで被害が及び、社会問題化したことも記憶に新しいところです。豚やイノシシの感染症であるアフリカ豚コレラは、もともとアフリカ特有の疾病でしたが、2007年のロシアでの初発からヨーロッパ10カ国に拡大し、2018年8月には世界最大の養豚国である中国・東北部でアジアの初発例が報告され、中国・国内で発生地域が拡大し、我が国への脅威となっています。本病には有効なワクチンや治療法もなく、日本に侵入・発生した場合の畜産業界への影響は口蹄疫をも越える甚大なものと予想されます。
シンポジウムでは、グローバル化社会の中で、アフリカ豚コレラがどのように広がり、どのように対処していくことができるのか、同ウイルス感染症についての現状を概説するとともに、日本の水際防疫の課題や被害最小化について議論します。
後援
日本豚病研究会、東京大学大学院農学生命科学研究科アグリコクーン、農学アカデミー
獣医疫学会、日本獣医師会、中央畜産会、日本獣医学会